最二小決 平成27年3月24日 付郵便送達の有効性

2015年4月21日

判決(決定)の概要・要旨

  • 申立人は、自ら再審請求をしたにもかかわらず、住居変更の届出書を提出した後、原々決定謄本について付郵便送達がなされるまで、裁判所に対して住居等の変更届出や連絡をしてこなかった一方で、原々審は、申立人の所在を把握できず、他に申立人が別件で刑事施設に収容されていることを知る端緒もなかった。
  • 上記のような事実関係の下で、付郵便送達は、刑訴規則62条1項の住居・送達受取人等の届出を申立人が怠ったことを理由に同規則63条1項により申立人本人を受送達者として前記届出住居に宛てて行ったものと理解することができ、再審請求をしている申立人が実際には別件で刑事施設に収容されていたとしても、有効と解するのが相当とした事例。

基本情報

裁判年月日 平成27年3月24日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件抗告を棄却する。
担当裁判官 小貫芳信 千葉勝美 鬼丸かおる 山本庸幸
意見
事件番号 平成26年(し)第567号
事件名 再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
原審裁判所 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成26年(く)第257号
原審裁判年月日 平成26年10月29日

最二小決平成27年3月24日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑事訴訟法

  • 第54条 書類の送達については、裁判所の規則に特別の定のある場合を除いては、民事訴訟に関する法令の規定(公示送達に関する規定を除く。)を準用する。

刑事訴訟規則
(送達のための届出・法第五十四条)

  • 第62条 被告人、代理人、弁護人又は補佐人は、書類の送達を受けるため、書面でその住居又は事務所を裁判所に届け出なければならない。裁判所の所在地に住居又は事務所を有しないときは、その所在地に住居又は事務所を有する者を送達受取人に選任し、その者と連署した書面でこれを届け出なければならない。
  • 2 前項の規定による届出は、同一の地に在る各審級の裁判所に対してその効力を有する。
  • 3 前二項の規定は、刑事施設に収容されている者には、これを適用しない。
  • 4 送達については、送達受取人は、これを本人とみなし、その住居又は事務所は、これを本人の住居とみなす。

(書留郵便等に付する送達・法第五十四条)

  • 第63条 住居、事務所又は送達受取人を届け出なければならない者がその届出をしないときは、裁判所書記官は、書類を書留郵便又は一般信書便事業者若しくは特定信書便事業者の提供する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして別に最高裁判所規則で定めるもの(次項において「書留郵便等」という。)に付して、その送達をすることができる。ただし、起訴状及び略式命令の謄本の送達については、この限りでない。
  • 2 前項の送達は、書類を書留郵便等に付した時に、これをしたものとみなす。

民事訴訟法
(書留郵便等に付する送達)

  • 第107条 前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第3項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
    • 一 第103条の規定による送達をすべき場合 同条第1項に定める場所
    • 二 第104条第2項の規定による送達をすべき場合 同項の場所
    • 三 第104条第3項の規定による送達をすべき場合 同項の場所(その場所が就業場所である場合にあっては、訴訟記録に表れたその者の住所等)
  • 2 前項第2号又は第3号の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その後に送達すべき書類は、同項第2号又は第3号に定める場所にあてて、書留郵便等に付して発送することができる。
  • 3 前二項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。