最一小決 平成26年11月17日 勾留の必要性と罪証隠滅の可能性について

2015年2月8日

判決(決定)の概要・要旨

  • 被疑者が被害者に接触する可能性が高いことを示すような具体的な事情がうかがわれないことからすると、原決定の説示をみても、被害者に対する現実的な働きかけの可能性もあるというのみで、その可能性の程度について原々審と異なる判断をした理由が何ら示されていないにもかかわらず、勾留の必要性を否定した原々審の裁判を取り消して、勾留を認めた原決定には法令の解釈適用を誤った違法があるとされた事例。

基本情報

裁判年月日 平成26年11月17日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 原決定を取り消す。
  • 本件準抗告を棄却する。
担当裁判官 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 山浦善樹 池上政幸
意見
事件番号 平成26年(し)第578号
事件名 勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件
原審裁判所 京都地方裁判所
原審事件番号 平成26年(む)第4113号
原審裁判年月日 平成26年11月7日

最一小決平成26年11月17日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑事訴訟法

  • 第60条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
    • 一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
    • 二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    • 三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  • 2 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第89条第1号、第3号、第4号又は第6号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
  • 3 30万円(刑法 、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和19年法律第4号)の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第1項の規定を適用する。
  • 第426条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。
  • 2 抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。