最一小判 平成26年1月30日 取締役の損害賠償責任-法定利率と遅滞に陥る時期

2014年11月27日

判決(決定)の概要・要旨

  • 商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任は、取締役の債務不履行責任であるが、法によってその内容が加重された特殊な責任であって、商行為たる委任契約上の債務が単にその態様を変じたにすぎないものということはできず(最二小判 平成20年1月28日 民集62巻1号128頁参照)、同号に基づく損害賠償債務は、商行為によって生じた債務又はこれに準ずるものと解することはできないことから、損害賠償金に付すべき遅延損害金の利率は、民法所定の年5分と解するのが相当であるとした事例。
  • 商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償債務は、期限の定めのない債務であって、履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解するのが相当であるとした事例。

基本情報

裁判年月日 平成26年1月30日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決中,遅延損害金の請求に関する部分を破棄する。
  • 前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
  • 上告人らのその余の上告を棄却する。
  • 前項に関する上告費用は上告人らの負担とする。
担当裁判官 横田尤孝 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 山浦善樹
意見
事件番号 平成24年(受)第1600号
事件名 損害賠償請求事件
原審裁判所 福岡高等裁判所
原審事件番号 平成23年(ネ)第255号
原審裁判年月日 平成24年4月13日

最一小判平成26年1月30日(裁判所ホームページ)

関係法令等

商法(削除前の条文)

  • 第266条 左ノ場合ニ於テハ其ノ行為ヲ為シタル取締役ハ会社ニ対シ連帯シテ第1号ニ在リテハ違法ニ配当又ハ分配ノ為サレタル額、第2号ニ在リテハ供与シタル利益ノ価額、第3号ニ在リテハ未ダ弁済ナキ額、第4号及第5号ニ在リテハ会社ガ蒙リタル損害額ニ付弁済又ハ賠償ノ責ニ任ズ
    • 一 第290条第1項ノ規定ニ違反スル利益ノ配当ニ関スル議案ヲ総会ニ提出シ又ハ第293条ノ5第3項ノ規定ニ違反スル金銭ノ分配ヲ為シタルトキ
    • 二 第295条第1項ノ規定ニ違反シテ財産上ノ利益ヲ供与シタルトキ
    • 三 他ノ取締役ニ対シ金銭ノ貸付ヲ為シタルトキ
    • 四 前条第1項ノ取引ヲ為シタルトキ
    • 五 法令又ハ定款ニ違反スル行為ヲ為シタルトキ
  • 2~23 (略)

会社法
(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)

  • 第423条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
  • 2~3 (略)