最一小決 平成27年3月26日 収益還元法によって算定された価格に対する非流動性ディスカウント適用の是非
判決(決定)の概要・要旨
- 非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないと解するのが相当とした事例。
- 非流動性ディスカウントは、非上場会社の株式には市場性がなく、上場株式に比べて流動性が低いことを理由として減価をするものであるところ、収益還元法は、当該会社において将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定するものであって、同評価手法には、類似会社比準法等とは異なり、市場における取引価格との比較という要素は含まれていないことから、収益還元法によって算定された株式の価格について、同評価手法に要素として含まれていない市場における取引価格との比較により更に減価を行うことは、相当でない。
基本情報
裁判年月日 | 平成27年3月26日 |
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裁判所 | 最高裁判所 第一小法廷 |
裁判の種類 | 決定 |
主文 |
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担当裁判官 | 池上政幸 櫻井龍子 金築誠志 山浦善樹 |
意見 | – |
事件番号 | 平成26年(許)第39号 |
事件名 | 株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 |
原審裁判所 | 札幌高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成26年(ラ)第151号 |
原審裁判年月日 | 平成26年9月25日 |
関係法令等
会社法
(反対株主の株式買取請求)
(反対株主の株式買取請求)
- 第785条 吸収合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
- 一 第783条第2項に規定する場合
- 二 前条第3項に規定する場合
- 2~7 (略)
(株式の価格の決定等)
- 第786条 株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と消滅株式会社等(吸収合併をする場合における効力発生日後にあっては、吸収合併存続会社。以下この条において同じ。)との間に協議が調ったときは、消滅株式会社等は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。
- 2 株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は消滅株式会社等は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
- 3 前条第6項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から60日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
- 4 消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第1項の期間の満了の日後の年6分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。
- 5 株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日(吸収分割をする場合にあっては、当該株式の代金の支払の時)に、その効力を生ずる。
- 6 株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
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