最三小判 平成26年4月22日 公判前整理手続と訴訟の争点化

2014年11月19日

判決(決定)の概要・要旨

  • 第1審の公判前整理手続において、殺害行為に先立つ銃の引き金を引いたという行為については、その客観的事実について争いはなく、確定的殺意の有無に関する主張が対立点として議論されたのであるから、当該公判前整理手続を終了するに当たり確認した争点の項目に、主張上の対立点が明示的に掲げられなかったからといって、公判前整理手続において争点とされなかったと解すべき理由はない。
  • 本件第1審公判手続の経過のもとでは、当該主張上の対立点について、主張立証のいずれの面からも実質的な攻撃防御を経ており、公判において争点とされなかったと解すべき理由もないことから、第1審判決が本件判示部分を認定するに当たり、この主張上の対立点を争点として提示する措置をとらなかったことに違法があったとは認められない。

基本情報

裁判年月日 平成26年4月22日
裁判所 最高裁判所 第三小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決を破棄する。
  • 本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
担当裁判官 大橋正春 岡部喜代子 大谷剛彦 木内道祥
意見
事件番号 平成24年(あ)第1816号
事件名 住居侵入,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
原審裁判所 仙台高等裁判所 秋田支部
原審事件番号 平成24年(う)第3号
原審裁判年月日 平成24年9月25日

最一小判平成26年4月22日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑事訴訟法

  • 第294条 公判期日における訴訟の指揮は、裁判長がこれを行う。
  • 第312条 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。
  • 2 裁判所は、審理の経過に鑑み適当と認めるときは、訴因又は罰条を追加又は変更すべきことを命ずることができる。
  • 3 裁判所は、訴因又は罰条の追加、撤回又は変更があつたときは、速やかに追加、撤回又は変更された部分を被告人に通知しなければならない。
  • 4 裁判所は、訴因又は罰条の追加又は変更により被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞があると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、被告人に充分な防禦の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。
  • 第316条の24 裁判所は、公判前整理手続を終了するに当たり、検察官及び被告人又は弁護人との間で、事件の争点及び証拠の整理の結果を確認しなければならない。
  • 第379条 前2条の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。

刑事訴訟規則
(釈明等)

  • 第208条 裁判長は、必要と認めるときは、訴訟関係人に対し、釈明を求め、又は立証を促すことができる。
  • 2 陪席の裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
  • 3 訴訟関係人は、裁判長に対し、釈明のための発問を求めることができる。