最三小判 平成26年4月15日 非常上告事件

2014年11月27日

判決(決定)の概要・要旨

  • 警察の最高速度(制限速度)の誤認によって非犯則行為の速度違反として検挙され、犯則行為に関する処理手続きを経ないまま公訴敵をされて略式命令を受けた者に対する非常上告事件。

基本情報

裁判年月日 平成26年4月15日
裁判所 最高裁判所 第三小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原略式命令を破棄する。
  • 本件公訴を棄却する。
担当裁判官 大谷剛彦 岡部喜代子 大橋正春 木内道祥
意見
事件番号 平成25年(さ)第5号
事件名 道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
原審裁判所 立川簡易裁判所
原審事件番号  
原審裁判年月日 平成24年4月25日

最三小判平成26年4月15日(裁判所ホームページ)

関係法令等

道路交通法
(公安委員会の交通規制)

  • 第4条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。
  • 2~5 (略)

(最高速度)

  • 第22条 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
  • 2 (略)
  • 第118条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
      一  第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
      二~八 (略)
  • 2 (略)

(通則)

  • 第125条 この章において「反則行為」とは、前章の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであつて、車両等(重被牽引車以外の軽車両を除く。次項において同じ。)の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
  • 2~3 (略)

(通告)

  • 第127条 警察本部長は、前条第3項又は第4項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。この場合においては、その者が当該告知に係る出頭の期日及び場所に出頭した場合並びにその者が第129条第1項の規定による仮納付をしている場合を除き、当該通告書の送付に要する費用の納付をあわせて通告するものとする。
  • 2 警察本部長は、前条第3項又は第4項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者でないと認めるときは、その者に対し、すみやかに理由を明示してその旨を書面で通知するものとする。この場合において、その者が当該告知に係る種別以外の種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。
  • 3 第1項の規定による通告は、第129条第1項に規定する期間を経過した日以後において、すみやかに行なうものとする。

(反則金の納付)

  • 第128条 前条第1項又は第2項後段の規定による通告に係る反則金(同条第1項後段の規定による通告を受けた者にあつては、反則金及び通告書の送付に要する費用。以下この条において同じ。)の納付は、当該通告を受けた日の翌日から起算して10日以内(政令で定めるやむを得ない理由のため当該期間内に反則金を納付することができなかつた者にあつては、当該事情がやんだ日の翌日から起算して10日以内)に、政令で定めるところにより、国に対してしなければならない。
  • 2 前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。

(反則者に係る刑事事件)

  • 第130条 反則者は、当該反則行為についてその者が第127条第1項又は第2項後段の規定により当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付の通告を受け、かつ、第128条第1項に規定する期間が経過した後でなければ、当該反則行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。ただし、次の各号に掲げる場合においては、この限りでない。
    • 一 第126条第1項各号のいずれかに掲げる場合に該当するため、同項又は同条第4項の規定による告知をしなかつたとき。
    • 二 その者が書面の受領を拒んだため、又はその者の居所が明らかでないため、第126条第1項若しくは第4項の規定による告知又は第127条第1項若しくは第2項後段の規定による通告をすることができなかつたとき。

道路交通法施行令
(公安委員会の交通規制)

  • 第1条の2 法第4条第1項の規定により都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が信号機又は道路標識若しくは道路標示を設置し、及び管理して交通の規制をするときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、かつ、道路又は交通の状況に応じ必要と認める数のものを設置し、及び管理してしなければならない。
  • 2 法第4条第1項の規定により公安委員会が路側帯を設けるときは、その幅員を0.75メートル以上とするものとする。ただし、道路又は交通の状況によりやむを得ないときは、これを0.5メートル以上0.75メートル未満とすることができる。
  • 3 法第4条第1項の規定により公安委員会が横断歩道又は自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)を設けるときは、道路標識及び道路標示を設置してするものとする。ただし、次の各号に掲げる場合にあつては、それぞれ当該各号に定めるところによることができる。
    • 一 横断歩道等を設けようとする場所に信号機が設置されている場合 道路標示のみを設置すること。
    • 二 横断歩道等を設けようとする道路の部分が舗装されていないため、又は積雪その他の理由により第1項の規定に適合する道路標示の設置又は管理が困難である場合 内閣府令で定めるところにより、道路標識のみを設置すること。
  • 4 法第4条第1項の規定により公安委員会が車両通行帯を設けるときは、次の各号に定めるところによるものとする。
    • 一 道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に二以上の車両通行帯を設けること。
    • 二 歩道と車道の区別のない道路(歩行者の通行の用に供しない道路を除く。)に車両通行帯を設けるときは、その道路の左側端寄りの車両通行帯の左側に1メートル以上の幅員を有する路側帯を設けること。ただし、歩行者の通行が著しく少ない道路にあつては、路側帯の幅員を0.5メートル以上1メートル未満とすることができる。
    • 三 車両通行帯の幅員は、3メートル以上(道路及び交通の状況により特に必要があると認められるとき、又は道路の状況によりやむを得ないときは、1メートル以上3メートル未満)とすること。
  • 5 法第4条第1項の規定により公安委員会が行う交通の規制のうち、次の各号に掲げる道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)による交通の規制は、それぞれ当該各号に定める事由があるときに行うものとする。
    • 一 法第21条第2項第3号の道路標識等 交通のひんぱんな道路における車両の通行の円滑を図るため特に必要があること。
    • 二 法第46条の道路標識等 道路及び交通の状況により特に支障がないこと。
    • 三 法第63条の4第1項第1号の道路標識等 歩道及び交通の状況により支障がないこと。
    • 四 法第63条の5の道路標識等 道路及び交通の状況により支障がないこと。

刑法
(労役場留置)

  • 第18条 罰金を完納することができない者は、1日以上2年以下の期間、労役場に留置する。
  • 2 科料を完納することができない者は、1日以上30日以下の期間、労役場に留置する。
  • 3 罰金を併科した場合又は罰金と科料とを併科した場合における留置の期間は、3年を超えることができない。科料を併科した場合における留置の期間は、60日を超えることができない。
  • 4 罰金又は科料の言渡しをするときは、その言渡しとともに、罰金又は科料を完納することができない場合における留置の期間を定めて言い渡さなければならない。
  • 5 罰金については裁判が確定した後30日以内、科料については裁判が確定した後10日以内は、本人の承諾がなければ留置の執行をすることができない。
  • 6 罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置1日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に1日未満の端数を生じるときは、これを1日とする。)とする。

刑事訴訟法

  • 第338条 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。
    • 一 被告人に対して裁判権を有しないとき。
    • 二 第340条の規定に違反して公訴が提起されたとき。
    • 三 公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
    • 四 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
  • 第348条 裁判所は、罰金、科料又は追徴を言い渡す場合において、判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又はその執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、検察官の請求により又は職権で、被告人に対し、仮に罰金、科料又は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。
  • 2 仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。
  • 3 仮納付の裁判は、直ちにこれを執行することができる。
  • 第458条 非常上告が理由のあるときは、左の区別に従い、判決をしなければならない。
    • 一 原判決が法令に違反したときは、その違反した部分を破棄する。但し、原判決が被告人のため不利益であるときは、これを破棄して、被告事件について更に判決をする。
    • 二 訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。
  • 第463条 前条の請求があつた場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。
  • 2 検察官が、第461条の2に定める手続をせず、又は前条第2項に違反して略式命令を請求したときも、前項と同様である。
  • 3 裁判所は、前二項の規定により通常の規定に従い審判をするときは、直ちに検察官にその旨を通知しなければならない。
  • 4 第1項及び第2項の場合には、第271条の規定の適用があるものとする。但し、同条第2項に定める期間は、前項の通知があつた日から2箇月とする。