最一小決 平成26年3月17日 一定期間内に繰返し行われた暴行行為の罪数と訴因の特定

2014年11月26日

判決(決定)の概要・要旨

  • 一連の暴行によって各被害者に傷害を負わせた事実は、約4か月間又は約1か月間という一定の期間内に、被告人が、ある程度限定された場所で共通の動機から繰り返し犯意を生じ、主として同態様の暴行を反復累行し、その結果、"個別の機会の暴行"と"傷害の発生、拡大ないし悪化"との対応関係を個々に特定することはできないものの、結局は一人の被害者の身体に一定の傷害を負わせたというものであり、そのような事情に鑑みると、その全体を一体のものと評価し、包括して一罪と解することができる。
  • いずれの事件も、訴因における罪となるべき事実は、その共犯者、被害者、期間、場所、暴行の態様及び傷害結果の記載により、他の犯罪事実との区別が可能であり、また、それが傷害罪の構成要件に該当するかどうかを判定するに足りる程度に具体的に明らかにされているから、訴因の特定に欠けるところはない。

基本情報

裁判年月日 平成26年3月17日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件上告を棄却する。
  • 当審における未決勾留日数中700日を本刑に算入する。
担当裁判官 山浦善樹 櫻井龍子 金築誠志 横田尤孝 白木勇
意見
事件番号 平成23年(あ)第1224号
事件名 死体遺棄、傷害致死、傷害、殺人被告事件
原審裁判所 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成22年(う)第398号
原審裁判年月日 平成23年5月31日

最一小決平成26年3月17日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑法
(死体損壊等)

  • 第190条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

(殺人)

  • 第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

(傷害)

  • 第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(傷害致死)

  • 第205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。