最一小判 平成26年10月9日 大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟(第2陣)

2014年11月18日

判決(決定)の概要・要旨

  • 大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟(第2陣)
  • (一般論として)国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である(最三小判平成16年4月27日・民集58巻4号1032頁、最二小判平成16年10月15日・民集58巻7号1802頁参照)
  • 労働大臣は、昭和33年5月26日には、旧労基法に基づく省令制定権限を行使して、罰則をもって石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付るべきであったのであり、旧特化則(特定化学物質等障害予防規則)が制定された昭和46年4月28日まで、労働大臣が旧労基法に基づく上記省令制定権限を行使しなかったことは、旧労基法の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、著しく合理性を欠くものであって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとした事例。

基本情報

裁判年月日 平成26年10月9日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決中,被上告人X1に関する上告人敗訴部分を破棄する。
  • 前項の部分につき,被上告人X1の控訴を棄却する。
  • 上告人のその余の上告を棄却する。
  • 第1項及び第2項に関する控訴費用及び上告費用は被上告人X1の負担とし,前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
担当裁判官 白木勇 櫻井龍子 金築誠志 横田尤孝 山浦善樹
意見
事件番号 平成26年(受)第771号
事件名 損害賠償請求事件
原審裁判所 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成24年(ネ)第1796号
原審裁判年月日 平成25年12月25日

最一小判平成26年10月9日(裁判所ホームページ)

関係法令等

国家賠償法

  • 第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
  • 2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

労働基準法

労働安全衛生法

じん肺法