最一小判 平成26年4月24日 破産債権と執行文付与の訴え
判決(決定)の概要・要旨
- 免責許可の決定が確定した債務者に対して破産債権を有する債権者が、当該破産債権が非免責債権に該当することを理由として、当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されない。
基本情報
裁判年月日 | 平成26年4月24日 |
---|---|
裁判所 | 最高裁判所 第一小法廷 |
裁判の種類 | 判決 |
主文 |
|
担当裁判官 | 金築誠志 櫻井龍子 横田尤孝 白木勇 山浦善樹 |
意見 | – |
事件番号 | 平成25年(受)第419号 |
事件名 | 執行分付与請求事件 |
原審裁判所 | 名古屋高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成24年(ネ)第1010号 |
原審裁判年月日 | 平成24年11月27日 |
関係法令等
民事執行法
(執行文の付与)
- 第26条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
- 2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
- 第27条 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
- 2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
(執行文付与の訴え)
- 第33条 第27条第1項又は第2項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第3項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
破産法
(破産手続廃止後又は破産手続終結後の破産債権者表の記載の効力)
- 第221条 第217条第1項若しくは第218条第1項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき、又は前条第1項の規定による破産手続終結の決定があったときは、確定した破産債権については、破産債権者表の記載は、破産者に対し、確定判決と同一の効力を有する。この場合において、破産債権者は、確定した破産債権について、当該破産者に対し、破産債権者表の記載により強制執行をすることができる。
(免責許可の決定の効力等)
- 第253条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
-
- 一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
- 二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
- 四 次に掲げる義務に係る請求権
-
- イ 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
- ロ 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
- ハ 民法第766条(同法第749条、第771条及び788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
- ニ 民法第877条 から第880条 までの規定による扶養の義務
- ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
- 五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
- 六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
- 七 罰金等の請求権
- 2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。
- 3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。
- 4 第1項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第11条第1項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません