最三小判 平成27年3月3日 先行する行政処分の取消しを求める訴えの利益

2015年3月4日

判決(決定)の概要・要旨

  • 行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている処分基準において、先行の処分を受けたことを理由に後行の処分で重く処分される不利益な取扱いの定めがある場合には、上記先行の処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るとき、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、処分基準の定めにより不利益な取扱いを受けるべき期間内は、なお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当とした事案。

基本情報

裁判年月日 平成27年3月3日
裁判所 最高裁判所 第三小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
  • 本件を札幌地方裁判所に差し戻す。
担当裁判官 岡部喜代子 大谷剛彦 大橋正春 木内道祥 山崎敏充
意見
事件番号 平成26年(行ヒ)第225号
事件名 営業停止処分取消請求事件
原審裁判所 札幌高等裁判所
原審事件番号 平成25年(行コ)第28号
原審裁判年月日 平成26年2月20日

最三小判平成27年3月3日(裁判所ホームページ)

関係法令等

行政手続法
(目的等)

  • 第1条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
  • 2 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

(処分の基準)

  • 第12条 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
  • 2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

行政事件手続法
(原告適格)

  • 第9条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
  • 2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。