最一小決 平成26年11月18日 抗告審の審査対象・審査方法

2015年2月8日

判決(決定)の概要・要旨

  • 抗告審は、原決定の当否を事後的に審査するものであり、抗告審としては、受訴裁判所の判断が、裁量の範囲を逸脱していないかどうか、すなわち、不合理でないかどうかを審査すべきであり、受訴裁判所の判断を覆す場合には、その判断が不合理であることを具体的に示す必要があるというべきである。
  • その上で、原決定(原々審の決定を、裁量の範囲を超えたものとして取り消し、保釈請求を却下した原決定)は、これまでの公判審理の経過及び罪証隠滅のおそれの程度を勘案してなされたとみられる原々審の判断が不合理であることを具体的に示しておらず、法令の解釈適用を誤った違法がありるとされた事例。

基本情報

裁判年月日 平成26年11月18日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 原決定を取り消す。
  • 原々決定に対する抗告を棄却する。
担当裁判官 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 山浦善樹 池上政幸
意見
事件番号 平成26年(し)第560号
事件名 保釈許可決定に対する抗告の決定に対する特別抗告事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成26年(く)第554号
原審裁判年月日 平成26年10月29日

最一小決平成26年11月18日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑事訴訟法

  • 第89条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
    • 一 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    • 二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
    • 三 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    • 四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    • 五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    • 六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
  • 第90条 裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
  • 第426条 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。
  • 2 抗告が理由のあるときは、決定で原決定を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。