最三小判 平成26年2月25日 投資信託受益権・個人向け国債の可分債権該当性
判決(決定)の概要・要旨
- 投資信託受益権は、その内容として、法令上、償還金請求権及び収益分配請求権(投資信託及び投資法人に関する6条3項)という金銭支払請求権のほか、信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権(同法15条2項)等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており、可分給付を目的とする権利でないものが含まれていることから、共同相続された投資信託受益権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
- 個人向け国債は、その額面金額の最低額が1万円とされ、権利の帰属を定めることとなる振替口座簿の記載又は記録も上記最低額の整数倍の金額によるものとされており、法令上、1単位未満での権利行使が予定されていないと解されることから、共同相続された個人向け国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
基本情報
裁判年月日 | 平成26年2月25日 |
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裁判所 | 最高裁判所 第三小法廷 |
裁判の種類 | 判決 |
主文 |
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担当裁判官 | 寺田逸郎 岡部喜代子 大谷剛彦 大橋正春 木内道祥 |
意見 | – |
事件番号 | 平成23年(受)第2250号 |
事件名 | 共有物分割請求事件 |
原審裁判所 | 福岡高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成22年(ネ)第1160号 |
原審裁判年月日 | 平成23年8月26日 |
関係法令等
民法
(共同相続の効力)
- 第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
- 第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
投資信託及び投資法人に関する法律
(受益証券)
- 第6条 (略)
- 2 (略)
- 3 委託者指図型投資信託の受益者は、信託の元本の償還及び収益の分配に関して、受益権の口数に応じて均等の権利を有するものとする。
- 4~7 (略)
(投資信託財産に関する帳簿書類)
- 第15条 投資信託委託会社は、内閣府令で定めるところにより、投資信託財産に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
- 2 委託者指図型投資信託の受益者は、投資信託委託会社に対し、その営業時間内に、当該受益者に係る投資信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写を請求することができる。
個人向け国債の発行等に関する省令
(振替単位)
- 第3条 個人向け国債の額面金額の最低額(以下この条及び次条第8項において「最低額面金額」という。)は、国債の発行等に関する省令 (昭和57年大蔵省令第30号。以下「発行省令」という。)第3条の規定にかかわらず、1万円とし、振替法の規定による振替口座簿の記載又は記録は、最低額面金額の整数倍の金額によるものとする。
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