最一小決 平成26年7月22日 大蔵海岸・砂浜陥没事故(1)

2014年11月19日

判決(決定)の概要・要旨

  • 人工砂浜(国からの占用許可を得た市によって維持管理されていた)での埋没事故について、同砂浜を含む海岸の工事・管理に関する事務を担当していた国土交通省職員には、同砂浜に関する安全措置を講ずべき業務上の注意義務があったとされた事例。(大蔵海岸・砂浜陥没事故)
  • 本件の被告人は、姫路工事事務所東播海岸出張所の所長である被告人甲、明石市土木部参事である被告人乙、明石市海岸・治水課の課長である被告人丙の3名。

基本情報

裁判年月日 平成26年7月22日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件上告を棄却する。
担当裁判官 白木勇 櫻井龍子 金築誠志 横田尤孝 山浦善樹
意見
事件番号 平成24年(あ)第59号
事件名 業務上過失致死被告事件
原審裁判所 大阪高等裁判所
原審事件番号  
原審裁判年月日 平成23年12月2日

最一小決平成26年7月22日(裁判所ホームページ)

関係法令等

海岸法
(海岸保全区域の指定)

  • 第3条 都道府県知事は、海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するため海岸保全施設の設置その他第二章に規定する管理を行う必要があると認めるときは、防護すべき海岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができる。ただし、河川法(昭和39年法律第百67号)第3条第1項 に規定する河川の河川区域、砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された土地又は森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項若しくは第25条の2第1項若しくは第2項の規定による保安林(同法第25条の2第1項後段又は第2項後段において準用する同法第25条第2項の規定による保安林を除く。以下次項において「保安林」という。)若しくは同法第41条の規定による保安施設地区(以下次項において「保安施設地区」という。)については、指定することができない。
  • 2~5 (略)

(主務大臣の直轄工事)

  • 第6条 主務大臣は、次の各号の一に該当する場合において、当該海岸保全施設が国土の保全上特に重要なものであると認められるときは、海岸管理者に代つて自ら当該海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事を施行することができる。この場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該海岸管理者の意見をきかなければならない。
    • 一 海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事の規模が著しく大であるとき。
    • 二 海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事が高度の技術を必要とするとき。
    • 三 海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事が高度の機械力を使用して実施する必要があるとき。
    • 四 海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事が都府県の区域の境界に係るとき。
  • 2 主務大臣は、前項の規定により海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、海岸管理者に代つてその権限を行うものとする。
  • 3 主務大臣は、第1項の規定により海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事を施行する場合においては、主務省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

(権限の委任)

  • 第40条の2 この法律に規定する主務大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を地方支分部局の長に委任することができる。

海岸法施行令
(海岸管理者の権限の代行)

  • 第1条の5 法第6条第2項の規定により主務大臣が海岸管理者に代わつて行う権限は、次の各号に掲げるものとする。
    • 一 法第2条第1項の規定により砂浜の指定をすること。
    • 一の二 法第2条の3第4項の規定により海岸保全施設の整備に関する案を作成し、及び同条第五項 の規定により必要な措置を講ずること。
    • 一の三 法第7条第1項又は第8条第1項の規定による許可を与えること。
    • 一の四 法第8条の2第1項各号列記以外の部分若しくは同項第3号又は第3条の2第1項第2号の規定により区域若しくは物件又は行為の指定をすること。
    • 二 法第10条第2項の規定により同条同項に規定する者と協議すること。
    • 三 法第12条第1項又は第2項に規定する処分をし、又は措置を命ずること。ただし、同条第2項第3号に該当する場合においては、同条第2項に規定する処分をし、又は措置を命ずることはできない。
    • 三の二 法第12条第3項の規定により必要な措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任をした者にこれを行わせること。
    • 三の三 法第12条第4項の規定により除却に係る海岸保全施設以外の施設又は工作物(除却を命じた同条第1項の物件を含む。次号及び第3条の3から第3条の8までにおいて「他の施設等」という。)を保管し、及び法第12条第5項の規定により公示すること。
    • 三の四 法第12条第6項の規定により他の施設等を売却し、及びその代金を保管し、同条第7項の規定により他の施設等を廃棄し、又は同条第8項の規定により売却した代金を売却に要した費用に充てること。
    • 四 法第12条の2第1項から第3項までの規定により損失の補償について損失を受けた者と協議し、及び損失を補償すること。
    • 五 法第13条第1項本文の規定により海岸保全施設に関する工事を行うことを承認し、又は同条第2項 の規定により法第10条第2項に規定する者と協議すること。
    • 六 法第15条の規定により海岸保全施設に関する工事を施行させること。
    • 六の二 法第16条第1項の規定により海岸管理者が管理する海岸保全施設その他の施設又は工作物(以下この号及び第3条において「海岸保全施設等」という。)に関する工事又は海岸保全施設等の維持(海岸保全区域内の公共海岸の維持を含む。)を施行させること。
    • 七 法第17条第1項の規定により他の工事を施行すること。
    • 八 法第18条第1項の規定により他人の占有する土地若しくは水面に立ち入り、若しくは特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用し、又はその命じた者若しくはその委任を受けた者にこれらの行為をさせること。
    • 九 法第18条第7項並びに同条第8項において準用する法第12条の2第2項及び第3項の規定により損失の補償について損失を受けた者と協議し、及び損失を補償すること。
    • 十 法第19条の規定により損失の補償について損失を受けた者と協議し、及び補償金を支払い、又は補償金に代えて工事を行うことを要求し、並びに協議が成立しない場合において収用委員会に裁決を申請すること。
    • 十一 法第20条第1項の規定により報告若しくは資料の提出を求め、又はその命じた者に海岸保全施設に立ち入り、これを検査させること。
    • 十二 法第21条第1項又は第2項の規定により必要な措置を命ずること。
    • 十三 法第21条第3項並びに同条第4項 において準用する法第12条の2第2項及び第3項の規定により損失の補償について損失を受けた者と協議し、及び損失を補償すること。
    • 十四 法第22条第1項の規定により漁業権の取消し、変更又はその行使の停止を都道府県知事に求め、並びに同条第2項及び同条第3項において準用する漁業法 (昭和24年法律第267号)第39条第7項から第15項までの規定により損失を補償すること。
    • 十五 法第30条の規定により他の工作物の効用を兼ねる海岸保全施設の新設又は改良に関する工事に要する費用の負担について当該他の工作物の管理者と協議すること。
    • 十六 法第38条の2の規定により法の規定による許可又は承認に海岸の保全上必要な条件を付すること。
  • 2 前項に規定する主務大臣の権限は、法第6条第3項の規定に基づき公示された工事の区域につき、同項 の規定に基づき公示された工事の開始の日から当該工事の完了又は廃止の日までに限り行うことができるものとする。ただし、前項第3号の3から第4号まで、第9号、第10号、第13号、第14号後段及び第15号に規定する権限は、当該工事の完了又は廃止の日の後においても行うことができる。
  • 3 主務大臣は、第1項第1号、第1号の3から第3号の2まで、第5号から第6号の2まで、第12号又は第15号に掲げる権限を行つた場合においては、遅滞なく、その旨を海岸管理者に通知しなければならない。

(権限の委任)

  • 第14条 法に規定する主務大臣の権限(農林水産大臣の権限のうち漁港区域に係る海岸保全区域に関する事項に係るものを除く。)のうち、第1条の5第1項及び第3項に規定するもの並びに法第27条第2項に規定するもの(主務省令で定める工事に係るものを除く。)は、次の表の上欄に掲げる主務大臣の権限ごとに、同表の下欄に掲げる地方支分部局の長に委任する。これらの主務大臣の権限に係る法第37条に規定する権限についても、同様とする。
    • 主務大臣の権限 地方支分部局の長
    • 農林水産大臣の権限 地方農政局長及び北海道開発局長
    • 国土交通大臣の権限 地方整備局長及び北海道開発局長
  • 2 法第37条の2第1項の規定による主務大臣の権限のうち、国土交通大臣に属する権限は、地方整備局長及び北海道開発局長に委任する。

刑法
(業務上過失致死傷等)

  • 第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。