最三小判 平成27年3月10日 国籍法第12条の合憲性

2015年3月13日

判決(決定)の概要・要旨

  • 出生により日本国籍との重国籍となる子のうち、(1)国外で出生した者と(2)日本で出生した者との間に設けられた区別は、(1)国外で出生した者が必ずしも我が国との密接な結び付きがあるとはいえない場合があり得ることを踏まえ、実体を伴わない形骸化した日本国籍の発生をできる限り防止し、重国籍の発生をできる限り回避する目的で設けられた区別であり、立法目的として合理的な根拠がある。
  • 国外で出生した者が生来的に日本国籍を取得するための方法等についても、配慮がされていること考慮すれば、区別の具体的内容は、立法目的との関連において不合理なものとはいえず、立法府の合理的な裁量判断の範囲を超えるものとはいえない。
  • よって、国籍法12条は、憲法14条1項に違反するものではない。

ひとくちメモ

本判決で引用されている判例

基本情報

裁判年月日 平成27年3月10日
裁判所 最高裁判所 第三小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 本件上告を棄却する。
  • 上告費用は上告人らの負担とする。
担当裁判官 大谷剛彦 岡部喜代子 大橋正春 木内道祥 山崎敏充
意見
事件番号 平成25年(行ツ)第230号
事件名 国籍確認請求事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成24年(行コ)第177号
原審裁判年月日 平成25年1月22日

最三小判平成27年3月10日(裁判所ホームページ)

関係法令等

国籍法
(出生による国籍の取得)

  • 第2条 子は、次の場合には、日本国民とする。
    • 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
    • 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
    • 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
  • 第12条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法 (昭和22年法律第224号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。

(国籍の再取得)

  • 第17条 第12条の規定により日本の国籍を失つた者で20歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
  • 2 第15条第2項の規定による催告を受けて同条第3項の規定により日本の国籍を失つた者は、第5条第1項第5号に掲げる条件を備えるときは、日本の国籍を失つたことを知つた時から1年以内に法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、天災その他その者の責めに帰することができない事由によつてその期間内に届け出ることができないときは、その期間は、これをすることができるに至つた時から1月とする。
  • 3 前二項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

戸籍法

  • 第104条 国籍法第12条に規定する国籍の留保の意思の表示は、出生の届出をすることができる者(第52条第3項の規定によつて届出をすべき者を除く。)が、出生の日から3箇月以内に、日本の国籍を留保する旨を届け出ることによつて、これをしなければならない。
  • 2 前項の届出は、出生の届出とともにこれをしなければならない。
  • 3 天災その他第1項に規定する者の責めに帰することができない事由によつて同項の期間内に届出をすることができないときは、その期間は、届出をすることができるに至つた時から14日とする。

日本国憲法

  • 第10条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
  • 第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
  • 2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
  • 3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。