最一小判 平成26年9月25日 賃料増減額確認請求訴訟の確定判決の既判力
判決(決定)の概要・要旨
- 賃料増減額確認請求訴訟の確定判決の既判力は、原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り、前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずる。
ひとくちメモ
- 本件は、賃料増減額確認請求訴訟が係属中に、別途賃料増減額請求がなされた場合、賃料増減額確認請求訴訟の判決が確定すると、当該判決の既判力によって、訴訟係属中(判決確定前)になされた賃料増減額請求に関する訴訟の提起が許されないのかという点で争われました。
- 賃料増減額確認請求訴訟の訴訟物をどのように捉えるについては、期間説(形成権である賃料増減請求権の行使により賃料の増額又は減額がされた日から事実審の口頭弁論終結時までの期間の賃料額であるとする見解)と時点説(賃料増減請求が効果を生じた時点の賃料額が訴訟物という見解)があります。
- この点について最高裁は、本判決において、「原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り」との前提で、原則としては、時点説(増減額請求がされた時点の賃料額)が審理の対象(訴訟物)であると判決しました。
基本情報
裁判年月日 | 平成26年9月25日 |
---|---|
裁判所 | 最高裁判所 第一小法廷 |
裁判の種類 | 判決 |
主文 |
|
担当裁判官 | 横田尤孝 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 |
意見 | 補足意見(金築誠志) |
事件番号 | 平成25年(受)第1649号 |
事件名 | 建物賃料増額確認請求事件 |
原審裁判所 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成23年(ネ)第5264号 |
原審裁判年月日 | 平成25年4月11日 |
関係法令等
(借賃増減請求権)
- 第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません