最一小判 平成26年4月24日 間接管轄の有無の判断基準
判決(決定)の概要・要旨
- 訴え(人事に関する訴え以外)の間接管轄の有無については、基本的に我が国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、外国裁判所の判決を我が国が承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判断すべきものである。
- 民訴法3条の3第8号の「不法行為に関する訴え」は、民訴法5条9号の「不法行為に関する訴え」と同じく、違法行為により権利利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えをも含む。
- 差止請求に関する訴えについて、民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」は、違法行為が行われるおそれのある地や、権利利益を侵害されるおそれのある地をも含むものと解する。
- 民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」が判決国内にあるというためには、被告が原告の権利利益を侵害する行為を判決国内で行うおそれがあるか、原告の権利利益が判決国内で侵害されるおそれがあるとの客観的事実関係が証明されれば足りる。
基本情報
裁判年月日 | 平成26年4月24日 |
---|---|
裁判所 | 最高裁判所 第一小法廷 |
裁判の種類 | 判決 |
主文 |
|
担当裁判官 | 櫻井龍子 金築誠志 横田尤孝 白木勇 山浦善樹 |
意見 | – |
事件番号 | 平成23年(受)第1781号 |
事件名 | 執行判決請求事件 |
原審裁判所 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成22年(ネ)第3571号 |
原審裁判年月日 | 平成23年5月11日 |
関係法令等
民事訴訟法
(外国裁判所の確定判決の効力)
- 第108条 外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。
-
- 一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
- 二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
- 三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
- 四 相互の保証があること。
(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)
- 第3条の3 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定めるときは、日本の裁判所に提起することができる。
-
- 一~七 (略)
- 八 不法行為に関する訴え 不法行為があった地が日本国内にあるとき(外国で行われた加害行為の結果が日本国内で発生した場合において、日本国内におけるその結果の発生が通常予見することのできないものであったときを除く。)。
- 九~十三 (略)
民事執行法
(債務名義)
- 第22条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
- 一~五 (略)
- 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
- 六の二~七 (略)
(外国裁判所の判決の執行判決)
- 第22条 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
- 2 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
- 3 第1項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第118条各号に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。
- 4 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません