最二小判 平成27年6月5日 プロダクト・バイ・プロセス・クレームにおける発明の要旨の認定

2015年8月13日

判決(決定)の概要・要旨

  • 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても、その発明の要旨は、当該製造方法により製造された物と構造・特性等が同一である物として認定されるものと解するのが相当とした事例。
  • 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当であるとした事例。

基本情報

裁判年月日 平成27年6月5日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決を破棄する。
  • 本件を知的財産高等裁判所に差し戻す。
担当裁判官 千葉勝美 小貫芳信 鬼丸かおる 山本庸幸
意見 補足意見(千葉勝美)、意見(山本庸幸)
事件番号 平成24年(受)第2658号
事件名 特許権侵害差止請求事件
原審裁判所 知的財産高等裁判所
原審事件番号 平成23年(ネ)第10057号
原審裁判年月日 平成24年8月9日

最二小判平成27年6月5日(裁判所ホームページ)

関係法令等

特許法
(特許の要件)

  • 第29条 産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。
    • 一 特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明
    • 二 特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明
    • 三 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明
  • 2 特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。

(特許出願)

  • 第36条 (略)
  • 2~5 (略)
  • 6 第2項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
    • 一 特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
    • 二 特許を受けようとする発明が明確であること。
    • 三 請求項ごとの記載が簡潔であること。
    • 四 その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。
  • 7 (略)

(特許発明の技術的範囲)

  • 第70条 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
  • 2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
  • 3 前二項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。