最二小判 平成26年1月24日 旅行添乗員と労基法38条の2第1項「労働時間を算定し難いとき」

2014年11月26日

判決(決定)の概要・要旨

  • 募集型の企画旅行における添乗員の業務については、次のような事情の下では、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえない。
  • (1) 旅行日程がその日時や目的地等を明らかにして定められることによって、その内容があらかじめ具体的に確定されており、添乗員が自ら決定できる事項の範囲及びその決定に係る選択の幅は限られている。
  • (2) 企画旅行を主催する旅行業者は、添乗員との間で、あらかじめ定められた旅行日程に沿った旅程の管理等の業務を行うべきことを具体的に指示した上で、予定された旅行日程に途中で相応の変更を要する事態が生じた場合にはその時点で個別の指示をするものとされ、旅行日程の終了後は内容の正確性を確認し得る添乗日報によって業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受けるものとされている。

基本情報

裁判年月日 平成26年1月24日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 本件上告を棄却する。
  • 上告費用は上告人の負担とする。
担当裁判官 小貫芳信 千葉勝美 鬼丸かおる 山本庸幸
意見
事件番号 平成24年(受)第1475号
事件名 残業代等請求事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成22年(ネ)第4760号
原審裁判年月日 平成24年3月7日

最二小判平成26年1月24日(裁判所ホームページ)

関係法令等

労働基準法

  • 38条の2 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
  • 2 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
  • 3 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。