最三小判 平成26年1月28日 既に許可を受けている一般廃棄物収集運搬業者の原告適格

2014年11月26日

判決(決定)の概要・要旨

  • 市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可又はその更新を受けている者は、当該区域を対象として他の者に対してされた一般廃棄物収集運搬業又は一般廃棄物処分業の許可処分又は許可更新処分について、その取消訴訟の原告適格を有する。

基本情報

裁判年月日 平成26年1月28日
裁判所 最高裁判所 第三小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決のうち損害賠償請求に係る部分を破棄する。
  • 前項の部分につき,本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
  • 上告人のその余の上告を棄却する。
  • 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
担当裁判官 岡部喜代子 大谷剛彦 寺田逸郎 大橋正春 木内道祥
意見
事件番号 平成23年(行ヒ)第332号
事件名 一般廃棄物処理業許可取消等,損害賠償請求事件
原審裁判所 名古屋高等裁判所 金沢支部
原審事件番号 平成22年(行コ)第16号
原審裁判年月日 平成23年6月1日

最三小判平成26年1月28日(裁判所ホームページ)

関係法令等

行政事件訴訟法
(原告適格)

  • 9条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
  • 2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(国及び地方公共団体の責務)

  • 4条 市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
  • 2~4 (略)

(一般廃棄物処理計画)

  • 6条 市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
  • 2 一般廃棄物処理計画には、環境省令で定めるところにより、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。
    • 一 一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み
    • 二 一般廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
    • 三 分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分
    • 四 一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
    • 五 一般廃棄物の処理施設の整備に関する事項
  • 3 市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たつては、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し関係を有する他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。
  • 4  市町村は、一般廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

(市町村の処理等)

  • 6条の2 市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(再生することを含む。第7条第3項、第5項第4号ハからホまで及び第8項、第7条の3第1号、第7条の4第1項第5号、第8条の2第6項、第9条第2項、第9条の2第2項、第9条の2の2第1項第2号及び第3項、第9条の3第12項、第13条の11第1項第3号、第14条第3項及び第8項、第14条の3の2第1項第5号、第14条の4第3項及び第8項、第15条の3第1項第2号、第15条の12、第15条の15第1項第3号、第16条の2第2号、第16条の3第2号、第23条の3第2項、第24条の2第2項並びに附則第2条第2項を除き、以下同じ。)しなければならない。
  • 2~7 (略)

(一般廃棄物処理業)

  • 7条 一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
  • 2 前項の許可は、一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
  • 3 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
  • 4 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
  • 5 市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
    • 一 当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること。
    • 二 その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。
    • 三 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
    • 四 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
      • イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
      • ロ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
      • ハ この法律、浄化槽法 (昭和五十八年法律第四十三号)その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるもの若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号。第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項を除く。)の規定に違反し、又は刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四条 、第二百六条、第二百八条、第二百八条の三、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律 (大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
      • ニ 第七条の四第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項若しくは第十四条の三の二第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項(これらの規定を第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項 の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合(第七条の四第一項第三号又は第十四条の三の二第一項第三号(第十四条の六において準用する場合を含む。)に該当することにより許可が取り消された場合を除く。)においては、当該取消しの処分に係る行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十五条 の規定による通知があつた日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、第八条の五第六項及び第十四条第五項第二号ニにおいて同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
      • ホ 第七条の四若しくは第十四条の三の二(第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項 の規定による許可の取消しの処分に係る行政手続法第十五条 の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に次条第三項(第十四条の二第三項及び第十四条の五第三項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分(再生することを含む。)の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号 に該当する旨の同条 の規定による届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの
      • ヘ ホに規定する期間内に次条第三項の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号 に該当する旨の同条 の規定による届出があつた場合において、ホの通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
      • ト その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
      • チ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。第十四条第五項第二号ハにおいて同じ。)がイからトまでのいずれかに該当するもの
      • リ 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイからトまでのいずれかに該当する者のあるもの
      • ヌ 個人で政令で定める使用人のうちにイからトまでのいずれかに該当する者のあるもの
  • 6 一般廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
  • 7 前項の許可は、一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
  • 8 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
  • 9 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
  • 10 市町村長は、第六項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
    • 一 当該市町村による一般廃棄物の処分が困難であること。
    • 二 その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。
    • 三 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
    • 四 申請者が第五項第四号イからヌまでのいずれにも該当しないこと。
  • 11 第一項又は第六項の許可には、一般廃棄物の収集を行うことができる区域を定め、又は生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
  • 12 第一項の許可を受けた者(以下「一般廃棄物収集運搬業者」という。)及び第六項の許可を受けた者(以下「一般廃棄物処分業者」という。)は、一般廃棄物の収集及び運搬並びに処分につき、当該市町村が地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十八条第一項 の規定により条例で定める収集及び運搬並びに処分に関する手数料の額に相当する額を超える料金を受けてはならない。
  • 13 一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物処理基準(特別管理一般廃棄物にあつては、特別管理一般廃棄物処理基準)に従い、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。
  • 14~16 (略)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
(一般廃棄物収集運搬業の許可の基準)

  • 2条の2 法第7条第5項第3号(法第7条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
    • 一 施設に係る基準
      • イ 一般廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
      • ロ 積替施設を有する場合には、一般廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
    • 二 申請者の能力に係る基準
      • イ 一般廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
      • ロ 一般廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

(一般廃棄物処分業の許可の基準)

  • 2条の4 法第7条第10項第3号(法第7条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
    • 一 処分(埋立処分を除く。以下この号において同じ。)を業として行う場合
      • イ 施設に係る基準
        • (1) 浄化槽(浄化槽法第2条第1号に規定する浄化槽(同法第3条の2第2項又は浄化槽法 の一部を改正する法律(平成12年法律第106号)附則第2条の規定により浄化槽とみなされたものを含む。)をいう。以下同じ。)に係る汚泥又はし尿の処分を業として行う場合には、当該汚泥又はし尿の処分に適するし尿処理施設(浄化槽を除く。第13条第5号を除き以下同じ。)、焼却施設その他の処理施設を有すること。
        • (2) その他の一般廃棄物の処分を業として行う場合には、その処分を業として行おうとする一般廃棄物の種類に応じ、当該一般廃棄物の処分に適する処理施設を有すること。
        • (3) 保管施設を有する場合には、搬入された一般廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
      • ロ 申請者の能力に係る基準
        • (1) 一般廃棄物の処分を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
        • (2) 一般廃棄物の処分を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
    • 二 埋立処分を業として行う場合
      • イ 施設に係る基準
        • (1) 埋立処分を業として行う場合には、一般廃棄物の埋立処分に適する最終処分場及びブルドーザーその他の施設を有すること。
        • (2) 削除
      • ロ 申請者の能力に係る基準
        • (1) 一般廃棄物の埋立処分を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
        • (2) 一般廃棄物の埋立処分を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。