最二小判 平成26年2月14日 相続分の全部譲渡と遺産確認の訴えの利益

2014年11月26日

判決(決定)の概要・要旨

  • 共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになることから、その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性がなく、遺産確認の訴えの当事者適格を有しないと解するのが相当である。

基本情報

裁判年月日 平成26年2月14日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決中上告人らに関する部分を破棄する。
  • 前項の部分につき,本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
担当裁判官 小貫芳信 千葉勝美 鬼丸かおる 山本庸幸
意見
事件番号 平成23年(受)第603号
事件名 遺産確認、建物明渡等請求事件
原審裁判所 名古屋高等裁判所
原審事件番号 平成22年(ネ)第414号
原審裁判年月日 平成22年12月10日

最二小判平成26年2月14日(裁判所ホームページ)

関係法令等

民事訴訟法
(必要的共同訴訟)

  • 第40条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
  • 2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
  • 3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
  • 4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

(証書真否確認の訴え)

  • 第134条 確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができる。

民法
(共同相続の効力)

  • 第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

(相続分の取戻権)

  • 第905条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
  • 2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。