最一小判 平成27年3月5日 公害調停の調停委員会に認められる裁量

2015年3月13日

判決(決定)の概要・要旨

  • 公害調停は、当事者間の合意によって公害に係る紛争を解決する手続であり、当事者に手続への参加を求める方法、合意に向けた各当事者の意向の調整、法36条1項に基づく調停の打切りの選択等の手続の運営ないし進行については、調停委員会が、当該紛争の性質や内容、調停の経過、当事者の意向等を踏まえ総合的に判断すべきものであり、調停委員会に広範な裁量が認められている。
  • 本件事案では、本件委員会が当事者間に合意の成立の見込みがないとして、第1回調停期日において本件調停を打ち切った措置は、裁量権の範囲を逸脱したものとはいえず、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとした事例。

基本情報

裁判年月日 平成27年3月5日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決中,上告人敗訴部分を破棄する。
  • 前項の部分につき,被上告人らの控訴を棄却する。
  • 控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする。
担当裁判官 金築誠志 櫻井龍子 白木勇 山浦善樹 池上政幸
意見
事件番号 平成25年(受)第1436号
事件名 損害賠償請求事件
原審裁判所 高松高等裁判所
原審事件番号 平成23年(ネ)第358号
原審裁判年月日 平成25年4月18日

最一小判平成27年3月5日(裁判所ホームページ)

関係法令等

公害紛争処理法
(申請)

  • 第26条 公害に係る被害について、損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じた場合においては、当事者の一方又は双方は、公害等調整委員会規則で定めるところにより中央委員会に対し、政令で定めるところにより審査会等に対し、書面をもつて、あつせん、調停又は仲裁の申請をすることができる。この場合において、審査会に対する申請は、都道府県知事を経由してしなければならない。
  • 2 当事者の一方からする仲裁の申請は、この法律の規定による仲裁に付する旨の合意に基づくものでなければならない。

(調停の打切り)

  • 第36条 調停委員会は、調停に係る紛争について当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
  • 2 第34条第1項の規定による勧告がされた場合において、指定された期間内に当事者から受諾しない旨の申出があつたときは、当該当事者間の調停は、打ち切られたものとみなす。

国家賠償法

  • 第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
  • 2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。