最二小決 平成27年2月3日 死刑の選択上考慮されるべき要素(強盗殺人事件)

2015年2月8日

判決(決定)の概要・要旨

  • 住居侵入、強盗殺人(被害者1名)の事案について、死刑に処した第1審判決を量刑不当として破棄して無期懲役とした原判決の量刑が維持された事例
  • 死刑が究極の刑罰であり、その適用は慎重に行われなければならないという観点及び公平性の確保の観点からすると、同様の観点で慎重な検討を行った結果である裁判例の集積から死刑の選択上考慮されるべき要素及び各要素に与えられた重みの程度・根拠を検討しておくことは、裁判官のみで構成される合議体によって行われる裁判であろうと、裁判員の参加する合議体によって行われる裁判であろうと変わるものではない。
  • 前科を以外の情状からすると死刑の選択がやむを得ないとはいえない本件において、被告人に殺人罪等による相当長期の有期懲役の前科があることを過度に重視して死刑を言い渡した第1審判決は、死刑の選択をやむを得ないと認めた判断の具体的・説得的な根拠を示したものとは言い難い。
  • 第1審判決を破棄して無期懲役に処した原判決は、第1審判決の前記判断が合理的ではなく、被告人を死刑に処すべき具体的・説得的な根拠を見いだし難いと判断したものと解されるのであって、その結論は是認できるとした事案。

基本情報

裁判年月日 平成27年2月3日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件各上告を棄却する。
担当裁判官 千葉勝美 鬼丸かおる 山本庸幸
意見 補足意見(千葉勝美)
事件番号 平成25年(あ)第1127号
事件名 住居侵入,強盗殺人被告事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成23年(う)第773号
原審裁判年月日 平成25年6月20日

最二小決平成27年2月3日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑法

(住居侵入等)

  • 第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

(強盗致死傷)

  • 第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。