最二小判 平成27年6月1日 債務者の異議を止めない承諾と債権譲受人の過失(2)

2022年2月10日

判決(決定)の概要・要旨

  • 民法468条1項前段の趣旨は、債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができないとすることで、譲受人の利益を保護し、一般債権取引の安全を保障することにある。
  • 債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合、譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても、このことについて譲受人に過失があるときには、債務者は、当該事由をもって譲受人に対抗することができるとした事例。

基本情報

裁判年月日 平成27年6月1日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 本件上告を棄却する。
  • 上告費用は上告人の負担とする。
担当裁判官 千葉勝美 小貫芳信 鬼丸かおる 山本庸幸
意見
事件番号 平成26年(受)第2344号
事件名 不当利得返還請求事件
原審裁判所 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成26年(ネ)第1117号
原審裁判年月日 平成26年8月21日

最二小判平成27年6月1日(裁判所ホームページ)

関係法令等

民法
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)

  • 第468条 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
  • 2 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。