最二小決 平成27年2月3日 死刑の選択上考慮されるべき要素(松戸強盗殺人事件)
判決(決定)の概要・要旨
- (1)住居侵入・強盗殺人、窃盗・窃盗未遂、死体損壊・現住建造物等放火、(2)3件の住居侵入・窃盗、(3)住居侵入・強盗致傷、(4)住居侵入・強盗致傷、強盗強姦・監禁、(5)強盗致傷、(6)住居侵入・強盗強姦未遂の事案について、死刑に処した第1審判決を量刑不当として破棄して無期懲役とした原判決の量刑が維持された事例
- 死刑が究極の刑罰であり、その適用は慎重に行われなければならないという観点及び公平性の確保の観点からすると、同様の観点で慎重な検討を行った結果である裁判例の集積から死刑の選択上考慮されるべき要素及び各要素に与えられた重みの程度・根拠を検討しておくことは、裁判官のみで構成される合議体によって行われる裁判であろうと、裁判員の参加する合議体によって行われる裁判であろうと変わるものではない。
- 上記(1)の強盗殺人の被害者の殺害を計画的に実行したとは認められず、殺害態様の悪質性を重くみることにも限界がある本件事案において、それ以外の事件の悪質性や危険性、被告人の前科、反社会的な性格傾向等を強調して死刑を言い渡した第1審判決は、死刑の選択をやむを得ないと認めた判断の具体的・説得的な根拠を示したものとは言い難い。
- 第1審判決を破棄して無期懲役に処した原判決は、第1審判決の前記判断が合理的ではなく、被告人を死刑に処すべき具体的・説得的な根拠を見いだし難いと判断したものと解されるのであって、その結論は是認できるとした事案。
基本情報
裁判年月日 | 平成27年2月3日 |
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裁判所 | 最高裁判所 第二小法廷 |
裁判の種類 | 決定 |
主文 |
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担当裁判官 | 千葉勝美 鬼丸かおる 山本庸幸 |
意見 | 補足意見(千葉勝美) |
事件番号 | 平成25年(あ)第1127号 |
事件名 | 住居侵入,強盗強姦未遂,強盗致傷,強盗強姦,監禁,窃盗,窃盗未遂,強盗殺人,建造物侵入,現住建造物等放火,死体損壊被告事件 |
原審裁判所 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成23年(う)第1947号 |
原審裁判年月日 | 平成25年10月8日 |
関係法令等
刑法
(現住建造物等放火)
- 第108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(住居侵入等)
- 第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(死体損壊等)
- 第190条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
(逮捕及び監禁)
- 第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(窃盗)
- 第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(強盗致死傷)
- 第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
(強盗強姦及び同致死)
- 第241条 強盗が女子を強姦したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。
(未遂罪)
- 第243条 第235条から第236条まで及び第238条から第241条までの罪の未遂は、罰する。
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