最二小決 平成27年1月22日 相反する義務を課す別件仮処分決定と間接強制
判決(決定)の概要・要旨
- 漁業者らが、諫早湾干拓地潮受堤防の排水門を開放するよう国に命ずる確定判決に基づき、間接強制の申立てをした事案。
- 民事訴訟においては、判決の効力が当事者にしか及ばないのが原則であって、権利者である当事者を異にし別個に審理された確定判決と仮処分決定がある場合に、その判断が区々に分かれることは制度上あり得るのであるから、確定判決により排水門を開放すべき義務を負った国が、別件仮処分決定により排水門を開放してはならない旨の義務を負ったとしても、間接強制の申立ての許否を判断する執行裁判所としては、これら各裁判における実体的な判断の当否を審理すべき立場にはなく、民事執行法上の要件が満たされている以上、同決定を発すべきものである。
- 国が別件仮処分決定により排水門を開放してはならない旨の義務を負ったという事情があっても、執行裁判所は、確定判決に基づき、国に対し間接強制決定をすることができる。
基本情報
裁判年月日 | 平成27年1月22日 |
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裁判所 | 最高裁判所 第二小法廷 |
裁判の種類 | 決定 |
主文 |
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担当裁判官 | 千葉勝美 小貫芳信 鬼丸かおる 山本庸幸 |
意見 | ‐ |
事件番号 | 平成26年(許)第17号 |
事件名 | 間接強制決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件 |
原審裁判所 | 福岡高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成26年(ラ)第155号 |
原審裁判年月日 | 平成25年6月6日 |
関係法令等
民事執行法
(間接強制)
- 第172条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第1項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
- 2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
- 3 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
- 4 第1項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
- 5 第1項の強制執行の申立て又は第2項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
- 6 前条第2項の規定は、第1項の執行裁判所について準用する。
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