最二小判 平成26年12月12日 国税通則法60条1項の「滞納税」の趣旨・目的

2015年2月8日

判決(決定)の概要・要旨

  • 法定納期限までに相続税を納付した後、減額更正により還付加算金を含む金額の還付を受けたものの、当該還付を受けた金額を超えない範囲でさらに増額更正を受けた場合、当該増額更正により追加で納付しなければならなくなった税額(増差本税額)については、相続税の法定納期限の翌日から増額更正に係る増差本税額の納期限までの期間、国税通則法60条1項2号で延滞税の発生が予定されている「延滞」と評価すべき納付不履行による未納付国税に当たるものではないとして、法定納期限の翌日から各増差本税額の納期限までの期間に係る延滞税は発生しないものと判示した事例。

基本情報

裁判年月日 平成26年12月12日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
  • (1) 上告人X1の被上告人に対する亡Aの相続に係る相続税の延滞税1万5800円の納付義務が存在しないことを確認する。
  • (2) 上告人X2の被上告人に対する亡Aの相続に係る相続税の延滞税1万6200円の納付義務が存在しないことを確認する。
  • 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
担当裁判官 千葉勝美 小貫芳信 鬼丸かおる 山本庸幸
意見 補足意見(千葉勝美)、意見(小貫芳信)
事件番号 平成25年(行ヒ)第449号
事件名 延滞税納付債務不存在確認等請求事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成25年(行コ)第40号
原審裁判年月日 平成25年6月27日

最二小判平成26年12月12日(裁判所ホームページ)

関係法令等

国税通則法
(申告納税方式による国税等の納付)

  • 第35条 期限内申告書を提出した者は、国税に関する法律に定めるところにより、当該申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に相当する国税をその法定納期限(延納に係る国税については、その延納に係る納期限)までに国に納付しなければならない。
  • 2 次の各号に掲げる金額に相当する国税の納税者は、その国税を当該各号に掲げる日(延納に係る国税その他国税に関する法律に別段の納期限の定めがある国税については、当該法律に定める納期限)までに国に納付しなければならない。
    • 一 期限後申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額又は修正申告書に記載した第19条第4項第3号(修正申告により納付すべき税額)に掲げる金額(その修正申告書の提出により納付すべき税額が新たにあることとなつた場合には、当該納付すべき税額) その期限後申告書又は修正申告書を提出した日
    • 二 更正通知書に記載された第28条第2項第3号イからハまで(更正により納付すべき税額)に掲げる金額(その更正により納付すべき税額が新たにあることとなつた場合には、当該納付すべき税額)又は決定通知書に記載された納付すべき税額 その更正通知書又は決定通知書が発せられた日の翌日から起算して一月を経過する日
  • 3 過少申告加算税、無申告加算税又は重加算税(第68条第1項又は第2項(申告納税方式による国税の重加算税)の規定によるものに限る。以下この項において同じ。)に係る賦課決定通知書を受けた者は、当該通知書に記載された金額の過少申告加算税、無申告加算税又は重加算税を当該通知書が発せられた日の翌日から起算して一月を経過する日までに納付しなければならない。

(還付加算金)

  • 第58条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金等を還付し、又は充当する場合には、次の各号に掲げる還付金等の区分に従い当該各号に定める日の翌日からその還付のための支払決定の日又はその充当の日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)の日数に応じ、その金額に年7.3パーセントの割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。)をその還付し、又は充当すべき金額に加算しなければならない。
    • 一 (略)
    • 二 更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決を含む。)により納付すべき税額が減少した国税(当該国税に係る延滞税及び利子税を含む。)に係る過納金 その更正の請求があつた日の翌日から起算して三月を経過する日と当該更正があつた日の翌日から起算して一月を経過する日とのいずれか早い日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限)
    • 三 (略)
  • 2~5 (略)

(延滞税)

  • 第60条 納税者は、次の各号の一に該当するときは、延滞税を納付しなければならない。
    • 一 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
    • 二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第25条(決定)の規定による決定を受けた場合において、第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき国税があるとき。
    • 三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第五号に規定する国税、不納付加算税、重加算税及び過怠税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。
    • 四 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
    • 五 源泉徴収による国税をその法定納期限までに完納しないとき。
  • 2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税、輸入の許可を受けて保税地域から引き取られる物品に対する消費税等(石油石炭税法第17条第3項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付)の規定により納付すべき石油石炭税を除く。)その他政令で定める国税については、政令で定める日)の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額とする。ただし、納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第63条第1項、第4項及び第5項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限の翌日から二月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年7.3パーセントの割合を乗じて計算した額とする。
  • 3 第1項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。
  • 4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。

(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)

  • 第61条 修正申告書(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者が当該国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知して提出した当該申告書を除く。)の提出又は更正(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者についてされた当該国税に係る更正を除く。)があつた場合において、次の各号の一に該当するときは、当該申告書の提出又は更正により納付すべき国税については、前条第2項に規定する期間から当該各号に掲げる期間を控除して、同項の規定を適用する。
    • 一 その申告又は更正に係る国税について期限内申告書が提出されている場合において、その法定申告期限から1年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき。 その法定申告期限から1年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間
    • 二 その申告又は更正に係る国税について期限後申告書(還付金の還付を受けるための納税申告書で政令で定めるもの(以下「還付請求申告書」という。)を含む。以下この号において同じ。)が提出されている場合において、その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して1年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき。 その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して1年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間
  • 2 (略)