最一小決 平成26年11月27日 直送費用(郵便料金)の訴訟費用該当性

2014年12月11日

判決(決定)の概要・要旨

  • 準備書面の直送は、(1)裁判所が手続を追行することに伴うものではなく、当事者が予納義務を負担しないものであり、(2)費用法2条4号ないし10号が費用を定型的・画一的に定めているところ、直送は多様な方法によることが可能であって、定型的な支出が想定されるものではない。そのため、直送のための支出が費用に当たるとすると、相手方に訴訟費用額の予測が困難となり相当とはいえない。
  • 準備書面の直送をするためにした支出(郵便料金)については、民事訴訟費用等に関する法律2条2号の類推適用がされないとして、訴訟費用には含まれないとした事案。

基本情報

裁判年月日 平成26年11月27日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件抗告を棄却する。
  • 抗告費用は抗告人の負担とする。
担当裁判官 山浦善樹 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 池上政幸
意見
事件番号 平成26年(許)第19号
事件名 訴訟費用額確定処分異議申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成26年(ラ)第501号
原審裁判年月日 平成26年4月7日

最一小決平成26年11月27日(裁判所ホームページ)

関係法令等

民事訴訟費用等に関する法律
(当事者その他の者が負担すべき民事訴訟等の費用の範囲及び額)

  • 第2条 民事訴訟法(平成8年法律第109号)その他の民事訴訟等に関する法令の規定により当事者等(当事者又は事件の関係人をいう。第四号及び第五号を除き、以下同じ。)又はその他の者が負担すべき民事訴訟等の費用の範囲は、次の各号に掲げるものとし、その額は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
    • 一 次条の規定による手数料
      •  その手数料の額(第9条第3項又は第5項の規定により還付される額があるときは、その額を控除した額)
    • 二 第11条第1項の費用
      •  その費用の額
    • 三 執行官法(昭和41年法律第111号)の規定による手数料及び費用
      •  その手数料及び費用の額
    • 四 当事者等(当事者若しくは事件の関係人、その法定代理人若しくは代表者又はこれらに準ずる者をいう。以下この号及び次号において同じ。)が口頭弁論又は審問の期日その他裁判所が定めた期日に出頭するための旅費、日当及び宿泊料(親権者以外の法定代理人、法人の代表者又はこれらに準ずる者が2人以上出頭したときは、そのうちの最も低額となる1人についての旅費、日当及び宿泊料)
      •  次に掲げるところにより算定した旅費、日当及び宿泊料の額
        • イ 旅費
          • (1) 旅行が本邦(国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号)第2条第1項第四号に規定する本邦をいう。以下同じ。)と外国(本邦以外の領域(公海を含む。)をいう。以下同じ。)との間のものを含まない場合においては、当事者等の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の主たる庁舎の所在する場所と出頭した場所を管轄する簡易裁判所の主たる庁舎の所在する場所との間の距離を基準として、その距離を旅行するときに通常要する交通費の額として最高裁判所が定める額(これらの場所が同一となるときは、最高裁判所が定める額)。ただし、旅行が通常の経路及び方法によるものであること並びに現に支払つた交通費の額が当該最高裁判所が定める額を超えることを明らかにする領収書、乗車券、航空機の搭乗券の控え等の文書が提出されたときは、現に支払つた交通費の額
          • (2) 旅行が本邦と外国との間のものを含む場合において、当該旅行が通常の経路及び方法によるものであるときは、現に支払つた交通費の額(当該旅行が通常の経路又は方法によるものでないときは、証人に支給する旅費の例により算定した額)
        • ロ 日当 出頭及びそのための旅行(通常の経路及び方法によるものに限る。)に現に要した日数に応じて、最高裁判所が定める額。ただし、旅行が通常の経路若しくは方法によるものでない場合又は本邦と外国との間のものを含む場合には、証人に支給する日当の例により算定した額
        • ハ 宿泊料 出頭及びそのための旅行(通常の経路及び方法によるものに限る。)のために現に宿泊した夜数に応じて、宿泊地を区分して最高裁判所が定める額。ただし、旅行が通常の経路若しくは方法によるものでない場合又は本邦と外国との間のものを含む場合には、証人に支給する宿泊料の例により算定した額
    • 五 代理人(法定代理人及び特別代理人を除く。以下この号において同じ。)が前号に規定する期日に出頭した場合(当事者等が出頭命令又は呼出しを受けない期日に出頭した場合を除く。)における旅費、日当及び宿泊料(代理人が2人以上出頭したときは、そのうちの最も低額となる一人についての旅費、日当及び宿泊料)
      •  前号の例により算定した額。ただし、当事者等が出頭した場合における旅費、日当及び宿泊料の額として裁判所が相当と認める額を超えることができない。
    • 六 訴状その他の申立書、準備書面、書証の写し、訳文等の書類(当該民事訴訟等の資料とされたものに限る。)の作成及び提出の費用
      •  事件一件につき、事件の種類、当事者等の数並びに書類の種類及び通数(事件の記録が電磁的記録で作成されている場合にあつては、当該電磁的記録に記録された情報の内容を書面に出力したときのその通数)を基準として、通常要する書類の作成及び提出の費用の額として最高裁判所が定める額
    • 七 官庁その他の公の団体又は公証人から前号の書類の交付を受けるために要する費用
      •  当該官庁等に支払うべき手数料の額に交付一回につき第一種郵便物の最低料金の二倍の額の範囲内において最高裁判所が定める額を加えた額
    • 八 第六号の訳文の翻訳料
      •  用紙一枚につき最高裁判所が定める額
    • 九 文書又は物(裁判所が取り調べたものに限る。)を裁判所に送付した費用
      •  通常の方法により送付した場合における実費の額
    • 十 民事訴訟等に関する法令の規定により裁判所が選任を命じた場合において当事者等が選任した弁護士又は裁判所が選任した弁護士に支払つた報酬及び費用
      •  裁判所が相当と認める額
    • 十一 裁判所が嘱託する登記又は登録につき納める登録免許税
      •  その登録免許税の額
    • 十二 強制執行の申立て若しくは配当要求のための債務名義の正本の交付、執行文の付与又は民事執行法(昭和54年法律第4号)第29条の規定により送達すべき書類の交付を受けるために要する費用
      •  裁判所その他の官庁又は公証人に支払うべき手数料の額に交付又は付与一回につき第一種郵便物の最低料金の二倍の額に書留料を加えた額の範囲内において最高裁判所が定める額を加えた額
    • 十三 公証人法(明治41年法律第53号)第57条ノ2の規定により公証人がする書類の送達のために要する費用
      •  公証人に支払うべき手数料及び送達に要する料金の額
    • 十四 第十二号の交付若しくは付与を受け、又は前号の送達を申し立てるために裁判所以外の官庁又は公証人に提出すべき書類で官庁等の作成に係るものの交付を受けるために要する費用
      •  第七号の例により算定した費用の額
    • 十五 裁判所が支払うものを除き、強制執行、仮差押えの執行又は担保権の実行(その例による競売を含む。)に関する法令の定めるところにより裁判所が選任した管理人又は管財人が受ける報酬及び費用
      •  当該法令の規定により裁判所が定める額
    • 十六 差押債権者が民事執行法第56条第1項(これを準用し、又はその例による場合を含む。)の許可を得て支払つた地代又は借賃
      •  その地代又は借賃の額
    • 十七 第28条の2第1項の費用
      •  同項の規定により算定した額
    • 十八 民法(明治29年法律第89号)第385条(同法その他の法令において準用する場合を含む。)の規定による通知を書面でした場合の通知の費用
      •  通知一回につき第一種郵便物の最低料金に書留料を加えた額の範囲内において最高裁判所が定める額