最大判 平成26年11月26日 一票の格差訴訟-平成24年参院選(東京高裁分)
判決(決定)の概要・要旨
- 平成24年の公職選挙法改正による4増4減の措置を経た後も、平成24年の参議院議員選挙当時に至るまで、定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、平成22年選挙当時と同様に違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった。
- 本件選挙は、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態の下で施行されたものではあるが、平成24年大法廷判決の言渡しから本件選挙までの約9か月の間に、平成24年改正公職選挙法が成立し、次回選挙(平成28年)までに選挙制度の見直しを内容とする法改正を目指すなどの検討の方針や工程を示しつつその見直しの検討が行われてきているのであって、国会における是正の実現に向けた取組が平成24年大法廷判決の趣旨を踏まえた国会の裁量権の行使の在り方として相当なものでなかったということはできず、国会の裁量権の限界を超えるものとは言えない。
- 国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であることに照らせば、より適切な民意の反映が可能となるよう、国会において、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなどの具体的な改正案の検討と集約が着実に進められ、できるだけ速やかに、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって違憲の問題が生ずる前記の不平等状態が解消される必要がある。
基本情報
裁判年月日 | 平成26年11月26日 |
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裁判所 | 最高裁判所 大法廷 |
裁判の種類 | 判決 |
主文 |
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担当裁判官 | 寺田逸郎 櫻井龍子 金築誠志 千葉勝美 白木勇 岡部喜代子 大谷剛彦 大橋正春 山浦善樹 小貫芳信 鬼丸かおる 木内道祥 山本庸幸 山崎敏充 池上政幸 |
意見 | 反対意見(大橋正春、鬼丸かおる、木内道祥、山本庸幸)、補足意見(櫻井龍子、金築誠志、岡部喜代子、山浦善樹、山崎敏充、千葉勝美) |
事件番号 | 平成26年(行ツ)第155号、第156号 |
事件名 | 選挙無効請求事件件 |
原審裁判所 | 東京高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成25年(行ケ)第83号 |
原審裁判年月日 | 平成25年12月25日 |
関係法令等
- 第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
- 2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
- 3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
- 第46条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
公職選挙法
(参議院選挙区選出議員の選挙区)
- 第14条 参議院(選挙区選出)議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、別表第三で定める。
- 2 地方自治法第6条の2第1項の規定による都道府県の廃置分合があつても、参議院(選挙区選出)議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、なお従前の例による。
(衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力に関する訴訟)
- 第204条 衆議院議員又は参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては候補者又は候補者届出政党、衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等又は参議院名簿登載者)は、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該都道府県の選挙管理委員会を、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては中央選挙管理会を被告とし、当該選挙の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる。
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