第二小決 平成26年8月19日 逃亡犯罪人の引渡命令と弁明の機会付与

2014年11月18日

判決(決定)の概要・要旨

  • 逃亡犯罪人引渡法が、同法に基づく逃亡犯罪人の引渡命令について、行政手続法第3章の規定の適用を除外し、上記命令の令手続において改めて当該逃亡犯罪人に弁明の機会を与えるものとしていないことは、上記の手続全体からみて逃亡犯罪人の手続保障に欠けるものとはいえず、憲法31条の法意に反するものということはできない。

基本情報

裁判年月日 平成26年8月19日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件抗告を棄却する。
  • 抗告費用は抗告人の負担とする。
担当裁判官 千葉勝美 小貫芳信 鬼丸かおる 山本庸幸
意見
事件番号 平成26年(行ト)第55号
事件名 執行停止申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成26年(行ス)第38号
原審裁判年月日 平成26年8月14日

最二小決平成26年8月19日(裁判所ホームページ)

関係法令等

逃亡犯罪人引渡法
(東京高等裁判所の審査)

  • 第9条 東京高等裁判所は、前条の審査の請求を受けたときは、すみやかに、審査を開始し、決定をするものとする。逃亡犯罪人が拘禁許可状により拘禁されているときは、おそくとも、拘束を受けた日から2箇月以内に決定をするものとする。
  • 2 逃亡犯罪人は、前項の審査に関し、弁護士の補佐を受けることができる。
  • 3 東京高等裁判所は、第1項の決定をする前に、逃亡犯罪人及びこれを補佐する弁護士に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。但し、次条第1項第1号又は第2号の決定をする場合は、この限りでない。
  • 4 東京高等裁判所は、第1項の審査をするについて必要があるときは、証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる。この場合においては、その性質に反しない限り、刑事訴訟法第一編第十一章 から第十三章 まで及び刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。

(東京高等裁判所の決定)

  • 第10条 東京高等裁判所は、前条第1項の規定による審査の結果に基いて、左の区別に従い、決定をしなければならない。
    • 一 審査の請求が不適法であるときは、これを却下する決定
    • 二 逃亡犯罪人を引き渡すことができない場合に該当するときは、その旨の決定
    • 三 逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当するときは、その旨の決定
  • 2 前項の決定は、その主文を東京高等検察庁の検察官に通知することによつて、その効力を生ずる。
  • 3 東京高等裁判所は、第1項の決定をしたときは、すみやかに、東京高等検察庁の検察官及び逃亡犯罪人に裁判書の謄本を送達し、東京高等検察庁の検察官にその提出した関係書類を返還しなければならない。

(引渡に関する法務大臣の命令等)

  • 第14条 法務大臣は、第10条第1項第3号の決定があつた場合において、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当であると認めるときは、東京高等検察庁検事長に対し逃亡犯罪人の引渡を命ずるとともに、逃亡犯罪人にその旨を通知し、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当でないと認めるときは、直ちに、東京高等検察庁検事長及び逃亡犯罪人にその旨を通知するとともに、東京高等検察庁検事長に対し拘禁許可状により拘禁されている逃亡犯罪人の釈放を命じなければならない。
  • 2~3 (略)

(行政手続法 等の適用除外)

  • 第35条 この法律に基づいて行う処分については、行政手続法 (平成5年法律第88号)第三章の規定は、適用しない。
  • 2 この法律に基づいて行う処分(行政事件訴訟法 (昭和37年法律第139号)第3条第2項に規定する処分をいう。)又は裁決(同条第3項に規定する裁決をいう。)に係る抗告訴訟(同条第1項に規定する抗告訴訟をいう。)については、同法第12条第4項 及び第5項(これらの規定を同法第38条第1項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

日本国憲法

  • 第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。