最一小決 平成26年3月10日 控訴審における事実誤認の審理

2014年11月26日

判決(決定)の概要・要旨

  • 覚せい剤の密輸入事件について、被告人から指示を受けていたとする共犯者供述の信用性を否定して被告人を無罪とした第1審判決には事実誤認があるとした原判決は、第1審判決が、受信は記録されていないなどの通話記録の性質に十分配慮せず、それと同共犯者供述との整合性を細部について必要以上に要求するなどしたことや、同共犯者に指示を与えていた第三者の存在に関する抽象的な可能性をもって同共犯者供述の信用性を否定したことなどを指摘して、その判断は経験則に照らして不合理であるとしており、第1審判決の事実認定が経験則に照らして不合理であることを具体的に示したものといえ、刑訴法382条の解釈適用の誤りはない。

基本情報

裁判年月日 平成26年3月10日
裁判所 最高裁判所 第一小法廷
裁判の種類 決定
主文
  • 本件上告を棄却する。
担当裁判官 横田尤孝 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 山浦善樹
意見 補足意見(横田尤孝)
事件番号 平成23年(あ)第744号
事件名 覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
原審裁判所 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成23年(う)第484号
原審裁判年月日 平成24年3月2日

最一小決平成26年3月10日(裁判所ホームページ)

関係法令等

刑事訴訟法

  • 第382条 事実の誤認があつてその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
  • 第397条 第377条乃至第382条及び第383条に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。
  • 2 第393条第2項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。