売渡株式等の取得に関する事後開示等-会社法第179条の10(新会社法・平成26年改正)

開示書面の作成

対象会社は、取得日後遅滞なく、次の事項を記載・記録した書面(又は電磁的記録)を作成しなければなりません。

  • (1)特別支配株主が取得した売渡株式等の数
  • (2)その他の法務省令で定める事項

開示書面の備置き

対象会社は、上記で作成した書面を、取得日から6か月間(非公開会社の場合は1年間)、本店に備え置かなければなりません。

この期間は、「売渡株式等の取得の無効の訴え」の提訴期間(846条の2第1項)と同じです。

売渡株主・売渡新株予約権者の権利

売渡株主・売渡新株予約権者は、対象会社に対して、次のことを請求することができます。

  • (1)開示書類の閲覧
  • (2)開示書類の謄本・抄本の交付
  • (3)電磁的記録により記録された事項を表示したものの閲覧
  • (4)電磁的記録により記録された事項を印刷した書面等の交付

条文-会社法第179条の10

(売渡株式等の取得に関する書面等の備置き及び閲覧等)

  • 第179条の10 対象会社は、取得日後遅滞なく、株式等売渡請求により特別支配株主が取得した売渡株式等の数その他の株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
  • 2 対象会社は、取得日から6箇月間(対象会社が公開会社でない場合にあっては、取得日から1年間)、前項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
  • 3 取得日に売渡株主等であった者は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。
    • 一 前項の書面の閲覧の請求
    • 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
    • 三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
    • 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって対象会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

条文-会社法施行規則第33条の8

(対象会社の事後開示事項)

  • 第33条の8 法第179条の10第1項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
    • 一 特別支配株主が売渡株式等の全部を取得した日
    • 二 法第179条の7第1項又は第2項の規定による請求に係る手続の経過
    • 三 法第179条の8の規定による手続の経過
    • 四 株式売渡請求により特別支配株主が取得した売渡株式の数(対象会社が種類株式発行会社であるときは、売渡株式の種類及び種類ごとの数)
    • 五 新株予約権売渡請求により特別支配株主が取得した売渡新株予約権の数
    • 六 前号の売渡新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、当該新株予約権付社債についての各社債(特別支配株主が新株予約権売渡請求により取得したものに限る。)の金額の合計額
    • 七 前各号に掲げるもののほか、株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する重要な事項