最二小判 平成26年12月19日 工事請負工事契約の賠償金条項の解釈

2015年1月15日

判決(決定)の概要・要旨

  • 普通地方公共団体と共同企業体との間で締結された工事請負工事契約の賠償金条項(後記)における排除措置命令等が確定したことを要する「乙」とは、本件においては、共同企業体又は「A建設及び上告人」をいうものとする点で合意が成立していると解するのが相当とし、共同企業体の構成員のうちいずれかの者についてのみ排除措置命令等が確定した場合に、不正行為に関与せずに排除措置命令等を受けていない構成員や、排除措置命令等を受けたが不服申立て手続をとって係争中の構成員にまで賠償金の支払義務を負わせるのは、当該構成員に不足の損害を被らせることになるとし、賠償金の支払義務を否定した事例。
  • 賠償金条項・・・乙(請負人)が本件契約の当事者となる目的でした行為に関し、公正取引委員会が、乙に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する行為があったとして排除措置命令又は課徴金納付命令を行い、これが確定した場合、乙は、甲(注文者)に対し、不正行為に対する賠償金として、請負金額の10分の2相当額を甲の指定する期限までに支払わなければならない。

基本情報

裁判年月日 平成26年12月19日
裁判所 最高裁判所 第二小法廷
裁判の種類 判決
主文
  • 原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
  • 被上告人の請求を棄却する。
  • 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
担当裁判官 小貫芳信 千葉勝美 鬼丸かおる 山本庸幸
意見 補足意見(千葉勝美)
事件番号 平成26年(受)第1833号
事件名 賠償金請求事件
原審裁判所 東京高等裁判所
原審事件番号 平成24年(ネ)第6233号
原審裁判年月日 平成25年4月17日

最二小判平成26年12月19日(裁判所ホームページ)

関係法令等

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)

  • 第49条 (略)
  • 2~5 (略)
  • 6 排除措置命令に不服がある者は、公正取引委員会規則で定めるところにより、排除措置命令書の謄本の送達があつた日から60日以内(天災その他この期間内に審判を請求しなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して1週間以内)に、公正取引委員会に対し、当該排除措置命令について、審判を請求することができる。
  • 7 (略)
  • 第50条 (略)
  • 2~3 (略)
  • 4 納付命令に不服がある者は、公正取引委員会規則で定めるところにより、課徴金納付命令書の謄本の送達があつた日から60日以内(天災その他この期間内に審判を請求しなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して1週間以内)に、公正取引委員会に対し、当該納付命令について、審判を請求することができる。
  • 5~6 (略)