第二条この命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一「放射線」とは、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第五号に規定する放射線又は一メガ電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線若しくはエックス線であつて、自然に存在するもの以外のものをいう。
二「原子炉施設」とは、原子炉及びその附属設備をいう。
三「一次冷却材」とは、炉心において発生した熱を原子炉から直接に取り出すことを主たる目的とする流体をいう。
四「二次冷却材」とは、一次冷却材の熱を熱交換器により取り出すための流体であつて、タービンを駆動させることを主たる目的とするものをいう。
五「一次冷却系統」とは、一次冷却材が循環する回路をいう。
六「運転時の異常な過渡変化」とは、原子炉施設の運転時に予想される機械器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作及びこれらと類似の頻度で発生すると予想される外乱によつて生ずる異常な状態をいう。
七「工学的安全施設」とは、原子炉施設の故障、損壊等による原子炉内の燃料の破損等により、多量の放射性物質の放出のおそれがある場合に、これを抑制又は防止するための機能を有する施設をいう。
八「安全設備」とは、次に掲げる設備であつてその故障、損壊等により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを直接又は間接に生じさせるものをいう。
イ一次冷却系統に係る設備及びその附属設備
ロ反応度制御系統(通常運転時に反応度を調整する系統をいう。以下同じ。)及び原子炉停止系統(未臨界に移行し、未臨界を維持するために原子炉を停止する系統をいう。以下同じ。)に係る設備及びそれらの附属設備
ハ安全保護装置(運転時の異常な過渡変化が生じる場合、地震の発生等により原子炉の運転に支障が生じる場合、及び一次冷却材喪失等の事故時に原子炉停止系統を自動的に作動させ、かつ、原子炉内の燃料の破損等による多量の放射性物質の放出のおそれがある場合に、工学的安全施設を自動的に作動させる装置をいう。以下同じ。)、非常用炉心冷却設備(原子炉圧力容器内において発生した熱を通常運転時において除去する施設がその機能を失つた場合に原子炉圧力容器内において発生した熱を除去する設備をいう。以下同じ。)その他非常時に原子炉の安全を確保するために必要な設備及びそれらの附属設備
ニ原子炉格納容器及びその隔離弁
ホ非常用電源設備及びその附属設備
九「管理区域」とは、原子力発電所内の場所であつて、その場所における外部放射線に係る線量が別に告示する線量を超え、空気中の放射性物質(空気又は水のうちに自然に含まれているものを除く。以下同じ。)の濃度が別に告示する濃度を超え、又は放射性物質によつて汚染された物の表面の放射性物質の密度が別に告示する密度を超えるおそれがあるものをいう。
十「周辺監視区域」とは、管理区域の周辺の区域であつて、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が別に告示する線量限度を超えるおそれがないものをいう。
十一「原子炉冷却材圧力バウンダリ」とは、一次冷却系統に係る施設の損壊等に伴い自動的に弁が閉鎖されることにより圧力障壁となる部分をいう。
十二「燃料許容損傷限界」とは、燃料被覆材の損傷の程度であつて、安全設計上許容される範囲内でかつ原子炉を安全に運転することができる限界をいう。
十三「反応度価値」とは、制御棒の挿入若しくはその引抜き、又は液体制御材の注入等による原子炉の反応度の変化量をいう。
十四「制御棒の最大反応度価値」とは、原子炉が臨界(臨界近傍を含む。)にある場合において、制御棒を一本引き抜くことにより炉心に生ずる反応度価値の最大値をいう。
十五「反応度添加率」とは、制御棒の引抜き等により炉心に添加される単位時間当たりの反応度の量をいう。
十六「クラス1容器」、「クラス1管」、「クラス1ポンプ」又は「クラス1弁」(以下「クラス1機器」という。)とは、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器をいう。
十七「クラス2容器」、「クラス2管」、「クラス2ポンプ」又は「クラス2弁」(以下「クラス2機器」という。)とは、次に掲げる機器をいう。
イ原子炉を安全に停止するため又は非常時に安全を確保するために必要な設備であつて、その故障、損壊等により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを間接に生じさせるものに属する機器(放射線管理設備に属するダクトにあつては、原子炉格納容器の貫通部から外側隔離弁までの部分に限る。)。
ロタービンを駆動させることを主たる目的とする流体(蒸気及び給水をいう。)が循環する回路に係る設備に属する機器であつて、クラス1機器の下流側に位置する蒸気系統のうちクラス1機器からこれに最も近い止め弁までのもの、及びクラス1機器の上流側に位置する給水系統のうちクラス1機器からこれに最も近い止め弁までのもの。
ハイ及びロに掲げる機器以外の機器であつて、原子炉格納容器の貫通部から内側隔離弁又は外側隔離弁までのもの。
十八「クラス3容器」又は「クラス3管」(以下「クラス3機器」という。)とは、クラス1機器、クラス2機器、原子炉格納容器及び放射線管理設備に属するダクト以外の容器又は管(内包する流体の放射性物質の濃度が三十七ミリベクレル毎立方センチメートル(流体が液体の場合にあつては、三十七キロベクレル毎立方センチメートル)以上の管又は最高使用圧力が零メガパスカルを超える管に限る。)をいう。
十九「クラス4管」とは、放射線管理設備に属するダクトであつて、内包する流体の放射性物質の濃度が三十七ミリベクレル毎立方センチメートル以上のもの(クラス2管に属する部分を除く。)をいう。
二十「原子炉格納容器」とは、容器内の機械器具から放出される放射性物質等の有害な物質の漏えいを防止するために設けられる容器をいう。
二十一「コンクリート製原子炉格納容器」とは、原子炉格納容器であつて、鋼板で内張りされたコンクリート部を有するものをいう。
二十二「コンクリート部」とは、コンクリート製原子炉格納容器のうち鉄筋コンクリート構造又はプレストレストコンクリート構造の部分をいう。
二十三「鋼製内張り部等」とは、コンクリート製原子炉格納容器内の機械器具から放出される放射性物質等の有害な物質の漏えいを防止するためにコンクリート部に内張りされている鋼板(以下「ライナプレート」という。)、胴と底部のライナプレートを接続する鋼板(以下「ナックル」という。)、貫通部スリーブ及びコンクリート部への定着金具をいう。
二十四「クラス1支持構造物」、「クラス2支持構造物」又は「原子炉格納容器支持構造物」とは、それぞれクラス1機器、クラス2機器又は原子炉格納容器を支持する構造物をいう。
二十五「運転状態I」とは、原子炉施設の通常運転時の状態をいう。
二十六「運転状態II」とは、運転状態I、運転状態III、運転状態IV及び試験状態以外の状態をいう。
二十七「運転状態III」とは、原子炉施設の故障、誤作動等により原子炉の運転の停止が緊急に必要とされる状態をいう。
二十八「運転状態IV」とは、原子炉施設の安全設計上想定される異常な事態が生じている状態をいう。
二十九「試験状態」とは、耐圧試験により原子炉施設に最高使用圧力を超える圧力が加えられている状態をいう。
三十「荷重状態I」とは、コンクリート製原子炉格納容器が運転状態I(積雪時及び暴風時を除く。)において想定される荷重を受ける状態をいう。
三十一「荷重状態II」とは、コンクリート製原子炉格納容器が次に掲げるいずれかの状態において想定される荷重を受ける状態をいう。
イ逃がし安全弁作動時の状態(積雪時及び暴風時を除く。)
ロ原子炉格納容器耐圧試験時の状態(積雪時及び暴風時を除く。)
ハ運転状態Iにおける積雪時の状態(暴風時を除く。)
三十二「荷重状態III」とは、コンクリート製原子炉格納容器が運転状態Iにおける暴風時の状態又は運転状態IVにおける荷重状態IV以外の状態をいう。
三十三「荷重状態IV」とは、コンクリート製原子炉格納容器が運転状態IV(積雪時又は暴風時を含む。)において原子炉格納容器の安全上想定される異常な事態が生じている状態をいう。
三十四「最高使用圧力」とは、対象とする機器又は炉心支持構造物がその主たる機能を果たすべき運転状態において受ける最高の圧力以上の圧力であつて、設計上定めるものをいう。
三十五「最高使用温度」とは、対象とする機器、支持構造物又は炉心支持構造物がその主たる機能を果たすべき運転状態において生じる最高の温度以上の温度であつて、設計上定めるものをいう。
三十六「最低使用温度」とは、対象とする機器、支持構造物又は炉心支持構造物がその主たる機能を果たすべき運転状態又は試験状態において生ずる最低の温度以下の温度であつて、設計上定めるものをいう。
三十七「機械的荷重」とは、自重、管又は支持構造物からの反力その他付加荷重のうち地震荷重を除くものであつて、設計上定めるものをいう。